スタッフマネジメント

動物病院におけるマネジメントとは

こんにちは、北村(@PLAN-B)です。

最近、ことに「マネジメント」に関する相談をいただく機会が増えたと同時に、
私がご支援先の動物病院で直面する課題の多くが
人間関係、つまり「マネジメント」にまつわることが多いです。

「動物病院におけるマネジメント」というと、
ちょっと難しい感じに聞こえるかもしれませんが、

スタッフさんを1人でも雇用されてる院長先生であれば、
既にマネジメントをおこなっていると言える訳で。

今回の結論を先にお伝えしてしまうと、

私はマネジメントとは、

リーダーが100人いれば100通りのマネジメントのやり方があると思っていますし、これッといった正解がないものと思っています。

じゃあここで100通りの正解・マネジメントを詳しく解説はしませんが、

私自身、このマネジメントには散々苦労させられてきて、
その体験・経験値があるからこそ、
皆さんのご支援をさせてもらってるわけですが、、、

私がマネジメントのご支援をする際に、
最初に整理するポイントが3つあります。

セルフマネジメント
スタッフマネジメント
リーダーマネジメント

今回はこの3つについて、
整理のやり方をシェアさせていただこうと思います。

動物病院におけるセルフマネジメント

マネジメントとは、直訳すれば「管理」で、

セルフマネジメント、ですから、自分自身のマネジメント・管理になります。
言ってしまえば、院長先生ご自身の自己管理になります。

結論めいたことばかりをお伝えして恐縮なんですが、
私の自分自身の経験上、そしてご支援先の院長先生やリーダーの方々をみて実感するんですが、

人間関係の課題、つまりマネジメントの課題の9割は、
ご本人が変われば改善します。

他人を変えたければ、まずは自分が変われ、ってヤツですね。

ここでは院長先生ご自身だけでなく、
経営なさっている会社、病院の方向性自体のマネジメント・管理も含ませてください。

プライベートと仕事をあえて分けずに、

  • 院長先生ご自身が、どんな人生観・価値観を持たれているのか
  • その中で仕事=経営の比重がどの程度を占めているのか
  • どんな方向性を持って病院経営をなさっているのか

こういった価値観・病院の方向性がすごく大切になってきます。

病院経営というと、すぐに

  • 売り上げUP
  • 新規集患
  • 継続来院、、、などのキーワードが頭に浮かばれるかもしれないですが、

人間関係・マネジメントにまつわる課題解決に取り組まれるにあたっては、
先に挙げた価値観・病院の方向性がすごく大切になってきます。

耳がいたい話かもしれませんが、

ご支援先のスタッフさんと話す中で、こういった質問をよくさせてもらいます。

「病院がどんな方向に向かっていますか?」
「病院としてどんな価値観を大切にしていますか?」

マネジメントの課題を抱えられる多くの動物病院では、
この質問に回答できない方が多いです。

ですので、マネジメントに課題を感じられて、抱えられている場合、

すぐに他者に対して何らかのアプローチを始めるのではなく、

まずは、

・院長先生ご自身が、どんな人生観・価値観を持たれているのか
・その中で仕事=経営の比重がどの程度を占めているのか
・どんな方向性を持って病院経営をなさっているのか

この3つについて、院長先生がご自身なりの回答を持つようにしてください。

これも経験上になるんですが、

院長先生はともかく、
リーダー層、獣医師長など、下をまとめる役割を担っている方々にとって、
この病院の方向性というのは、とても心強いツールにもなってくれるからです。

個人の価値観だけだと、考え方の相違で処理されてしまうこともあるんですが、
組織の方向性から話をされると、納得感と説得力が全然違います。

動物病院におけるスタッフマネジメント

次に、ようやくスタッフマネジメントです。

管理ツール

スタッフさんのマネジメントというと、
とにかくスタッフさんを「管理する」イメージを持たれてしまうことが多く、

何か目標に取り組ませたり、その目標を管理して評価したり、
分かりやすいところでいえば、人事評価制度を導入したりとなることが多いんですが、

そういった管理ツールの導入は、管理が管理を呼んでしまうというか、
やり続ける「労力」の方が重たくなってしまって、
結局やれていない病院さんが多い印象があります。

指導とケア

また、スタッフマネジメント=教育と捉えられる印象も多いんですが、
特に新人教育に見受けられるんですが、
技術面やスキル面の「指導」に重きを置かれて、

教育プログラムやステップアップに力を注がれてしまうケースが少なくないんですが、

技術面やスキル面の指導はあくまで指導であって、
スタッフマネジメントの「目的」ではなく、「手段」でしかありません。

それよりも、
冒頭で伺ったように、院長がどんな価値観を持って仕事をされているか、
と同じように、

スタッフさんがどんな価値観を持って仕事をしているか

この個人の価値観を把握することが、スタッフマネジメントの全てだとも思っています。

とはいっても、「どんな価値観を持ってる?」なんて質問をして、
答えられるスタッフさんは少ないんですが、

・なぜ、この仕事をしているのか?
・どうして、うちで仕事をしているのか?
・どんな時にこの仕事をやっててよかったと思えるか?

こういった質問に置き換えると、
その人、個人個人の価値観が見えてきます。

スタッフマネジメントは、
院長先生の「時間」と「労力」とのせめぎ合いとも思っていて、

とにかく日々時間のない院長先生がスタッフマネジメントに割ける時間は
限られていると思います。

朝礼や全体ミーティング、
何か形式上のものにとらわれてしまいがちですが、あと回しでいいので、

1対1での、5分、10分の面談でも構いません、
ぜひ、個人の価値観の把握に努めてあげてください。

そうすることで、
院長の価値観、病院の方向性とのギャップがないか、
シナジーがあるかどうかも見えてきますし、

スタッフさんそれぞれに、
業務だけでない、役割ややりがいを与えてあげることにつながります。

2年目以降の離職原因に多く含まれる、

自分がここにいる意味、意義が見出せない」

これを解消することができます。

動物病院におけるリーダーマネジメント

最後に、リーダーマネジメントです。

スタッフさんの数が増えてくると、院長先生おひとりではチームをまとめ切ることが難しくなって、
看護師さんのリーダーであったり、勤務医の先生の中でも獣医師長的な役職を作ったりと、
なさると思います。

ご家族経営の場合ですと、奥様(ご主人)がそういったまとめ役を担われるケースも多いと思います。

私が感じるに、
このリーダーマネジメントが一番難しいかもしれません。

冒頭でご紹介したのですが、

人間関係の課題の9割は、自分が変われば変わる、とお伝えしましたが、

院長先生ご自身だけであれば、それこそ院長が変われば変わっていくのですが、

リーダーマネジメントの場合、
リーダー自身が変わらないと変わらないわけで、

何か強烈な動機や理由があれば変われるかもしれないですが、
それこそ病院が潰れるかもとか、スタッフが皆辞めてしまうとか、
院長先生は抜き差しならない動機が生まれても、

リーダーはあくまで雇われであって、なかなか自分が変わる動機が見つからないことが多いです。

なので、リーダーになって、下のスタッフをまとめることになった方の多くが、
先のスタッフマネジメントでもお伝えした「ツール」の活用と「指導」に重きを置いていくことが多いです。

技術やスキル面の指導で言えば、
「できている」か「できていない」かだけが評価軸になってしまいますし、

責任感が強いリーダーであればあるほど、
「できない」ことを「できる」ようにすることに力を注いでしまうんですが、
そこじゃないんですよね。

繰り返しになってきましたが、
スタッフさん個人個人がどんな価値観を持って仕事をしているか、

そういったソフト面からもアプローチしてあげないと、
ギスギスした関係性が生じてきます。

肩書きや役職だけを設けてあげて、投げっぱなしでは、
到底うまくいきません。

100人リーダーがいれば、100通りのマネジメントのやり方がありますので、
これといった正解はなくて、

リーダー自身に個人の価値観に問いかける重要性を、
下のスタッフのマネジメントで生じた課題に合わせてアプローチしていく必要が出てきます。

難しいですよね。

ここまで、マネジメントについて、

セルフマネジメント
スタッフマネジメント
リーダーマネジメント

と整理を進めてきましたが、

お気づきの方がいるかもしれないですが、

ことマネジメントに関しては向き不向きがあると思ってます。

人間関係のことなので、
何か特別な勉強などをしなくても、苦労せずに人をまとめられる方がいるのも事実です。

院長先生がマネジメントを極めたいんだ、と志をお持ちであれば別なのですが、
それこそ先程お伝えした通り、院長先生ご自身の時間も限られているわけで、

私はマネジメント業務は、
そういったことに長けている事務長的な人に任せたり、
アウトソーシングしてもいいと思っています。

人を採用することが難しくなっている現状があり、
スタッフさんにいかに長く働いてもらえるかが、重要になっていると思います。

そういった面では、マネジメント自体は今後ますます不可欠な取り組みになってくると思いますし、
そういう意味で課題を抱えられている院長先生やリーダー層の方々のお力になれればと思っています。

今回は、動物病院のマネジメントについて、

セルフマネジメント
スタッフマネジメント
リーダーマネジメント

この3つの視点からシェアさせていただきました。