こんにちは、北村(@PLAN-B)です。
これ、僕が支援させてもらっている動物病院スタッフさんから寄せられたリアルな声です
院長が何も話してくれない、と。
この病院の院長先生がひどい院長だったかというと、、、
人件費等の固定費確保に備えるために、
雇用調整助成金とセーフティネット4号(保証協会付融資)の手続きをしていた、、、
つまり、ちゃんと給与保障を準備していた訳です。
なんで、お互い話さないの、、、。
グループLINEとかやってるんだから、せめて院長から伝えてあげてよ、、、と。
化粧品ファンケルのグループ会社が600人の女性を対象に実施した「想いと言葉に関する調査」というものがあります。
調査結果は結構興味深くて、
自分の想いを相手に充分に伝えられている、と回答したのはわずか2.7%
自分の想いを言葉にして他人に伝えるのが得意、と回答したのはわずか22.7%
と、想いを伝える難しさを証明する結果となっているのですが。
これ、女性でこのぐらいですから、男性の場合だったらもっと伝えられていないんでしょうね。
↓以下↓ 想いと言葉に関する調査資料のPDFデータです。
この記事では
伝えないと伝わらないは違う
動物病院の経営者に必須な言語化能力
アフターコロナのコミュニケーションの在り方
こんな内容を紹介する記事になっています。
動物病院経営におけるコミュニケーションシーン
コミュニケーションについては、以前の記事を参照してもらいたいのですが。
コミュニケーションに完璧主義はいらない
冒頭のコロナの休業補償の話。
院長が何も話してくれない、、という。
実際、コロナに関しては微妙な駆け引き的な側面もあったと思います。
その気持ちはよく分かります、不確かな状況を伝えると、逆に不安にさせるかも。
ただ、今回のコロナで再確認されたと思いますが、国や行政は何も判断してくれなかったじゃないですか。
自分で決断しなきゃならないことを身に染みて感じられたでしょう。
一方で、スタッフはもっともっと情報が少ない中で、不安を抱えながら仕事をしている訳です。
院長ご自身に余裕がないのはもちろん分かりますが、受け身の立場で先が見えないと、むちゃくちゃ不安ですからね。
そして、そういう困った状況の時こそ、
どんなことをされたか、どんなことをしてくれたかってスタッフは憶えてるものです。
はっきりしないなら、はっきりしないと今の状態を伝えればいい。いや伝えが方がいい。
スタッフに対する下手なプライドや完璧主義者は不要です。
途中経過でもいいから、スタッフ側は伝えてくれないかと期待している訳です。
「伝える」ことは一方通行のコミュニケーションです
「伝わる」ことは双方向のコミュニケーションです。
大事なことほど面倒臭がらず、完璧を求めずに、直接伝えてください。
そして相手に伝わったかどうかを確認してください。
これ、好きとか愛してるとかだったら、ためらいや恥じらいがあるでしょうが、仕事の大切なことなので、単刀直入に確認して大丈夫ですからね。
動物病院経営者に必須の言語化能力
シャ乱Qのボーカル、つんく♂をご存知でしょうか?
モーニング娘。をプロデュースして、まさしく一世を風靡したプロデューサーです。
咽頭がんを患ってから声を失われた訳ですが、精力的に活動してますよね。
そんな彼が著書で語っていた「言語化能力」という言葉がすごく残っていて。
昔読んだ本で、調べて見たら10年前ぐらいの本で、述べていたようですね。
で、この本を解説してくれている記事が以下に見つかりました。
要約すると、
経営者が自分自身の成功したスキルや技術を、感覚や感性で捉えるだけでなく、その微妙な感覚・さじ加減を言葉で的確に表現することができれば、自分自身の「成功のトリセツ(取扱説明書)」を確立することができる、と。
なので、「高い再現性」をもってスキルや技術を継承できる。
そう、院長と話をさせてもらってると、こういう状況によく遭遇するわけです。
ここで、更なるコミュニケーションの課題が出てくる訳です。
「自分の考えを言語化する力」の重要性
これ、この事実を認識されていない院長が少なくないです。
もう少し解説すると、
ご自身の想いや考えを伝えていない=労力のロス
ご自身の想いや考えを正しく伝えることができない=表現力のロス
と、二重のロスが生じている訳です。
医療知識や技術という側面では、この表現力のロスは生じにくいのかもしれないですが、飼い主様とのコミュニケーションや診療の回し方など、感覚的な要素になると一気にこの表現力のロスが顕在化しています。
「事実」と「解釈」の違いについては、以下の記事を参考にしていただきたいのですが、
「事実」ではなく、「解釈」に寄った表現になりがちなんです。
ごめんなさい、これでは抽象的過ぎて分からないです。
もちろん相手には伝わらないので、状況が改善される訳もなく、そして院長のイライラと不満は募るわけです。
ひどい状況になってくると、そのイライラや不満から、
院長のやり方、回し方が院内での100点(満点)の基準となり、
院長以外のやり方、回し方は、院長と異なるので減点となり、
院長自らが周りに不満をこぼし始めるので、これが、減点主義、個人攻撃の温床にもつながっていく訳です。
院長から離職が絶えないなどでご相談をいただくのですが、
実は、院長ご自身のコミュニケーションにおける、労力のロスと表現力のロスが、チームや組織自体のトラブルに発展しているケースも少なくないんです。
ちなみに、この状態を解消していくためには、院長ご自身の状況認識から始めないと結局同じことを繰り返してしまので、前に進まないです。
アフターコロナのコミュニケーションの在り方
ここまでコミュニケーションの在り方について伝えてきましたが、アフターコロナ時代のコミュニケーションの在り方についても少し伝えておきます。
オンライン診療、5G、AI、VRなどの普及によって
これから場所を問わないコミュニケーションが一般化していくでしょう。
オンラインビデオツール、ZOOMの浸透で、ビデオ電話で話すことのハードル自体も今以上に下がっていくはずです。
10代、20代のビデオ通話利用率は約4割という調査結果が出ていますが、これ、全世代で変わってくるはずです。
※政府主導のオンライン帰省の利用シーンも生まれてきますからね。
この状況によって、コミュニケーションをサービスとして提供する側には2つの変化が必要になってくると思っています。
1.より高いコミュニケーション能力
2.言語化する力、表現する力を補完するツールの開発
これどちらも必要になるでしょうね。
ビデオ通話をやってみたことがある方は分かると思いますが、これ、相手の表情や雰囲気が読み取りづらいです。
家族や親しい友だちならいいのですが、初対面に毛の生えたような付き合いのシーンだと、ちょっとした雰囲気とかから読み取りたい相手の状況が読み取れないです。
あるある話だと思うんですが、雑な会話の振り方とかってありませんか?
どうですか?って何がどうですかよ、って感じなんですが、読み取って、推測して回答しているケースって少なくないと思うんですよ。
そういったことがビデオ通話だと通用しなくなってくると思うです。
だからこそ、
より高いコミュニケーション能力
より丁寧なコミュニケーションのやり方
が必要になってくると思います。
とはいえ、コミュニケーション能力の向上は、全ての人ができることではないですから、やはり、これを補完するツールの開発も必要になるでしょう。
診療シーンで言えば、
AIによる事前問診
診療時以外のCRM(顧客管理)をAIで管理できるツール など
こういったものになるかもしれません。
実際、AIによる問診をウリにしている企業も続々と出てきています。
また電子カルテなども動物病院業界で導入が少しずつですが進んでいます。
僕のクライアント病院さんでも電子カルテを利用されていますが、このカルテ管理の在り方が課題になることも少なくありません。
オンライン診療によって、担当獣医師という枠組みも変化していく、担当者をつけるのかつけないのか、線引きがはっきりしていくように思います。
さらに話が発展しますが、そもそもこういったIT化、電子化の土俵に乗らずに、あくまでアナログで戦っていく市場(マーケット)も残されるはずです。
※もちろん高いコミュニケーション能力は必要とされるでしょう。
いずれにしても、薄利多売や、利便性だけでやっていくのは難しい状況になるでしょうから、コミュニケーションの重要性はアフターコロナ時代は益々必要になってくる要素になると思います。