こんにちは、北村(@PLAN-B)です。
マーケティング支援をする中で、「これからの時代は患者から選ばれる病院に」という記事を見かけたことがあるのですが、皆さんピンときますか?
そもそも定義が難しいですが、動物病院の競争が激しくなっているのは今に始まったことではなく、ちゃんと顧客に選んでもらえる病院になっていきましょうということでしょうか。
ただ、もしそうであるなら、僕はこの考え方では「足りない」と思っています。
「患者に選ばれる」のではなく、意図的に「患者を選ぶ」ことが重要になってくると思います。
今回は
動物病院の待ち時間から見る、病院の取るべきスタンス
患者から選ばれる病院では足りない理由
患者を選ぶ
こんな内容を紹介する記事になっています。
動物病院の待ち時間から見る、病院の取るべきスタンス
「患者を選ぶ」
マーケティングや顧客満足の視点から「患者」のことを取り上げるにあたって、外せないテーマとして「待ち時間」があります。
外来患者の待ち時間について
少し掘り下げると
「病院のサービス」に関する調査では、医療機関の不満点について
1位 待ち時間が長い 79.9%
2位 夜間・休日に診療していない 37.2%
3位 医師・スタッフの接し方、対応がよくない 34.3%
と続き、
厚生労働省の調査でも、外来に関する不満事項は、
1位「待ち時間」が26.3%
2位「診察時間」が7.4%
3位「医師との対話」が6.1%
4位「医師による診療・治療内容」が5.5%
とあります。
割合の差は随分とありますが、患者の不満の上位には常に「待ち時間」があります。
待ち時間に対する患者の実感値と医師側の実感値は、1.8倍の開きがあるというデータもあるぐらい。
そして、待ち時間対策が検討される中で、拡がっていったものが予約診療システムでしょう。
予約診療システムの普及
スマートホンの国内所有率が2019年11月発表で77%となり、ITリテラシーの向上と共に、若者だけでなく、シニア層にもスマホ所有の輪が拡がっています。
社会的な環境変化もあり、人医療の個人開業医院では予約診療が一般化しつつあるのは、皆さんでも利用されるたびに実感されるところではないでしょうか。
一方で、動物病院では予約システム導入に対して抵抗があるように感じていたのですが、ここ最近は僕のクライアントの先生にも一気に拡がりつつあり、コロナ対策の影響でその導入は更に拡がっているように感じます。
予約システムの内容についてここで善し悪しを話すつもりはないんですが、
予約システムを導入された先生の「実感」についてフォーカスすると、先生の感想で共通しているのが「忙しさ」に関することなんです。
具体的には、
「去年の同じ頃と比較して、売上は伸びたけど、それほど忙しくなかったんだよね」
要は顧客数が増えたのに、忙しさをそれほど感じなかったと。
つまり、分かりやすいところで、予約システムを導入することで、
いつ患者さんが来るか分からない状態=振り回される側から、
患者さんがいつ来るかある程度把握できる状態=患者さんをコントロールできる側へ移行できた
ともいえる訳です。
患者から選ばれる動物病院では足りない理由
待ち時間を引き合いに、予約システム導入を例にお伝えしかったのが、
・患者に振り回されるのか
・患者をコントロールするのか
患者をコントロールできる側に回るだけで、業務効率はもちろんですが、院長の心理的な負担が改善・解消される訳です。
そこで冒頭の「患者から選ばれる病院に」という話を改めて取り上げると。
患者目線を重要視することは顧客ファーストを実践して素晴らしい施策に見える訳ですが、心理的な面からすればいつまで経っても患者に振り回されることに変わりないんですよね。
そんなことはないと思いますが、患者に媚びへつらい、金銭的な何かを得よう得ようとしている下心は簡単に見透かされる時代です。
多様化する価値観とニーズ
コロナの件でも明らかになったと思いますが、獣医療機関というある種の公益的な位置づけの業種にも関わらず、動物病院を国が守ってくれる訳でもない。
日々変化していく要望、欲求に応え、顧客に選ばれようとする労力はもう膨大かつ永遠な訳で。
その上に、患者目線に正解なんてないですから。
それそれが主観ありまくりの個人個人の解釈でしかない。
お客さまは神様です、なんて言葉もありますが、先にも挙げたように金銭的な何かを与えてくれるから神様という訳であって、だったらまだ社員ファーストの方がいいですよ。
ミレニアル世代、Z世代、
消費者の価値観が多様化している、していく状況の中で、患者の視点に囚われる「患者から選ばれる病院」づくりなんて不毛な議論でしかない訳です。
Z世代 4つのタイプ
1.人生ガチ勢
2.省エネペシミスト
3.ソーシャルよいこ
4.様子見フォロワー
進化するネットワーク 5G・AI・IoT
そして、更なる環境の変化も加わってきます。
特にネットワーク環境、AIの分野ですよね。
コロナの影響で人医療のオンライン診療のハードルが一気に下がりました。
具体的に初診からオンラインで利用が可能になりました。
↓以下↓ 厚生労働省の新型コロナウイルス対策によるオンライン診療の資料です。
某ペット保険最大手の会社も、継続処方であれば、診療なしでもいいという期限的な措置を設けました。(記事執筆段階)
この波は間違いなく動物病院にも流れてきます。
5Gサービスもこの2020年春のタイミングからスタートします。
場所・時間という制限の概念、垣根がどんどんなくなっていく世界観なのでしょう。
この状況をもってしても、患者に振り回される側の視点、つまり、患者目線、ニーズに合わせた病院づくりをしていたら、それはもう違和感でしかない訳です。
患者を選ぶ
じゃあどうしていけばいいのか。
患者をコントロールできる側に立つということ、
その手っ取り早い方法が「患者を選ぶ」ということです。
敵を知る前に自分を知る
患者をコントロールできる側に立つというと、少し語弊があるかもしれないので補足しておくと。
例えば、スタッフの管理、育成、マネジメントに手を焼いている経営者がいるとします。
ご多分にもれずに、ビジネス書を読んだり、セミナーに言ったり、経営者仲間に相談して、ご自身の至らなさを知り、変えよう、改善しようとする訳です。
で、簡単にうまくいく筈もないんですが、これ何でうまくいかないかってスタッフをコントロールしようとしてるからなんです。
患者をコントロールできる側に立てといいながら、スタッフをコントロールするなと、矛盾している訳ですが、
人ってそうそう変われませんよね。僕は何度もお付き合いしてきてます。
ご自身で気づきがあり、それを何回も何回も繰り返して。それでも変われないかという感じ。
聞きかじった経営者のあるべき像になったつもりで、人をコントロールしようとしたってダメなんです。
結局、それって周りに振り回されている訳です。
他人と過去は変えることができない。変えられるのは自分。
なぁんて言葉もありますが、勘違いしてほしくなくて。
自分を変えるというよりは、
自分が何にイライラして、どんな時に集中できて、どんなことでモチベーションが上がるのか、
自分を知ることに目を向けてほしいんです。
どちらかというと、シンプルに自分自身にワガママになれと言う感じです。
病院に落とし込んでみる
言ってみれば、「患者を選ぶこと」って、自分を知ることなんです。
これは先程あげたように、チーム作りにも使えるアプローチなんですが、
自分を殺して、顧客に合わせ、周りに合わせて、振り回されているようじゃ、瞬時にに下心を見透かされますし、コントロールなんてできない訳ですよ。
はっきり言って、そんな時間的余裕はないです。
コロナの際にはっきりしたと思いますが、
状況が突き詰められた時に必要となる経営判断の重要性、
誰が助けてくれる訳でもなく、最善なんてある筈もなくて、自分で判断したことがもう正解なんです。
先に挙げた通り、今まで以上に正解の見えない世界がもう目の前に来ています。
勘違いしないでくださいね、
私たちはスーパー経営者やスーパー獣医ではありません。
ニーズが今まで以上に多様化する世界があるからこそ、
ご自身が何を許せなくて、どんなことに集中できて、どんな時にモチベーションが上がるのか、
結局自分なんです。ぜひ、自分自身を知る作業を進めていってください。
そしてそれを下心なく病院の方針に落とし込んでいってみてください。
スタッフとの関係がどうしてもうまくいかないなら、スタッフを使わないで済む方向に着手した方がいい。
何かしらの専門性に特化して、身軽になる準備を進めた方がいい。
これといった特徴が持てないのなら、5年以内に病院を売却する方向を考えた方がいいかもしれない。
周りに振り回されるのではなく、自分のイニシアチブを自分自身が取れる立ち位置を取っていきましょう。
今回は、
患者に選ばれるのではなく、患者を選ぶ
「患者を選ぶ」とは、自分自身を知ること
周りに振り回されるのではなく、自分自身の舵取りができる立ち位置に
こんなことについてお伝えしました。