こんにちは、北村(@PLAN-B)です。
先日、ご支援先の動物病院で、
顧客管理ソフトの集計データ整理をおこないました。
今やほとんどの動物病院で採用されている顧客管理ソフトの導入。
顧客管理ソフトといえば、
アニコムレセプターやアーミックス、パトラなどなど、
会計、明細書作成、保険適用、
さらに電子カルテ機能なども搭載した便利なシステムを利用されているのではないでしょうか。
ただ、顧客管理システムには皆さんが普段あまり使われていない集計機能が実はたくさん備わっていて、、、
大半の方は明細書作成がメインで、集計といっても
月次レポートを確認されるぐらいで、
なかなか細かい分析までは時間がなくて手が及ばない病院さんも少なくないんじゃないかと思います。
冒頭のご支援先では、
採用が厳しい現状を踏まえて、今後のサービス内容の見直しを検討される中で、
そもそもどんな飼い主さま、顧客が自院を支えてくれているのか、
8対2の法則、いわゆるパレートの法則を検証してみようということになりました。
実際、どのように検証をおこなったかというと、
普段着目されない、顧客別の売り上げという視点から検証をおこないました。
細かい数字の
部分は差し障りがあるので伏せますが、
興味深い結果が出たので、、、
今回の記事では、
優良顧客とそうでない顧客の線引き
病院の地域貢献とのバランス
個人開業病院が選択する道
こんな内容をシェアさせていただきます。
優良顧客とそうでない顧客の線引き
冒頭でご紹介した8対2のパレートの法則、
これはざっくり言ってしまえば、
2割の要素が全体の8割に関与しているという法則です。
ですので、売り上げという視点で、
こんな仮説を立ててみました。
全体の売り上げの8割は、2割の顧客が支えているか??
結果はというと、、、
実際には8割とはいかなかったのですが、
売り上げ上位約3分の1の患者様が、
全体の売り上げの約6割に貢献してくださっていることが分かりました。
売り上げだけでなく、診療件数も同様で、
売り上げ上位約3分の1の患者様が、
全体の診療件数の約6割りに貢献してくださっている、、、
こんな結果が判明しました。
今回の検証はものすごくざっくりとしたもので、
経営分析で外せない、利益率という観点で分析はできていないので、
少し乱暴な数字である前提はご容赦ください。
もし今なんらかの経営不安を抱えられている場合、
経営不安を抱えていない院長先生などいらっしゃらないと思うんですが、
今回の結果の通りであるとすれば、
今の3分の1の顧客とだけお付き合いすれば、6割強の売上を確保することができる、
そう割り切れると、
かなり心がラクになる院長先生も少なくないんじゃないでしょうか。
診療件数も同様です、
待ち時間、混雑、時間に追われる、、、
もし診療件数を3分の1まで減らすことができたら、
どれだけラクになるでしょう、、
そして上位顧客の待ち時間に対する不満についても解消することができたら、どんなにいいか。
僕が院長先生からよくご相談いただく内容も、
ここ数年は、病院の終わり方についてアドバイスを求められることが多くなってきました。
少なくとも、あと5〜10年で病院経営を終えたい、とお考えであれば、
極端な話、
今の優良顧客とお付き合いできる状況さえ作れていれば、
新規患者なんていらないんです。
言葉が悪いですけど、嫌な患者さんと付き合う必要なんてないんです。
病院が患者を選んでいいのか???
いわゆるお客様を線引きする、、、
医療機関がそんなことをしていいのだろうか、という声も聞こえてきそうですが、、、。
病院の地域貢献とのバランス
僕が院長先生とお話しさせてもらっていて感じるのは、
顧客の線引きについて、ものすごく抵抗感があること、です。
それは「医療」という観点からすれば、
当然と言えば、当然なのかもしれませんが、
現状、既に全ての人を幸せにすることができる訳なんてないのに、、、
はっきりって言って年に1、2回しか来院されない患者様は、
別にうち(当院)でなくてもいいはずなんです。
ただ、それでも、やはり地域医療、地域貢献という部分は外せないものではあるので、
そう考えると、バランスなのではないかな、と。
近隣病院との兼ね合いもあると思います、
地域差はあるにしても、
夜間病院や深夜まで対応してくれる病院も徐々に増えています。
関わる人全てを幸せにすることはできない、
時間的リソースも、人的リソースも限りがあるので、
僕個人としては、具体的な対策には至らなくても、
積極的に線引きするぐらいの感覚が必要になってくると感じます。
個人開業病院が選択する道
「顧客を線引きしたほうがいい」
個人開業院に限って、と前置きしますが、
これが僕が今回最もお伝えしたい内容です。
はっきりいって、
いくら地域に貢献したとしても、誰も守ってくれないですし、
価格競争力や新鮮味のある企業病院や新しい病院が残酷にも顧客を奪いとっていきます。
それは採用課題にも大きく関わってきます。
診療数が多ければ、獣医師数が必要になりますが、
診療数が少なくて済むなら、採用が難しい獣医師を探し続ける負担も軽くなります。
うち(当院)じゃなきゃダメな飼い主さまを抱え込む
これで守りに入っても僕はいいと思うんです。
会員制ビジネス、サブスクリプション、
顧客を線引きする方法は複数あります。
顧客を抱えていさえすれば、いろんな手を打つことができます。
会社や病院を経営することって、
一種の麻薬的な要素があると感じてて、
不安や心配ごとが常にあるはずなのに、、、
それがたまたま、偶然解決したり、いいことがあったりすると、
全てが解決したかのような錯覚に陥ってしまって、
都合よく忘れていると、もちろんまた同じような課題が降ってくる、、
そして気がつくと、それが回を重ねるごとに重たくなってきてる、、、
そんな側面の繰り返しなように思います。
動けるうちに選択していきましょう!
今回のような調査・分析のご支援もおこなっています。
何をするにしても、まずは「自院を知る」ことが第一歩かもしれません。
今回の記事は、
売上の3分の2を支えてるのはわずか3分の1の顧客
全ての顧客に等しく尽くしても誰も守ってくれない
動けるうちに顧客の線引きなど積極的なアクションも必要
こんな内容をシェアさせていただきました。