こんにちは、北村(@PLAN-B)です。
唐突ですが、動物病院経営において、
以下のワードで、どんなことを連想されますか?
・利益率UP
・顧客単価UP
・診療時間短縮
・休診日増
病院経営にとって、これらが良いことなのか、悪いことなのか、
それは皆さんのご判断に委ねますが、
もし実現できるなら、個人的にはとても理想的な状況だと思います。
なぜこんなことを質問させてもらったかというと、
私のご支援先で、先進的な取り組みをされながら、上記を実現している北関東の動物病院があります。
今回は、こちらの病院について、
先進的な取り組みが生まれる理念
地域 x 暮らし x 表情豊かな広報活動
誰のため、自分のため
上記の3つの視点からご紹介したいと思います。
もし読者の方が動物病院経営者でしたら、ご自身の動物病院の状況を重ねながら読み進めていただけると嬉しいです。
先進的な取り組みが生まれる理念
群馬県藤岡市は高崎市に隣接する人口6万3千人の町です。
高崎までは東京駅から新幹線で小1時間ほどの場所になります。
今回ご紹介するどうぶつウェルネスセンター・アニクス/ハロー動物病院は2003年に藤岡市にて開院され、今年20周年を迎えられています。
院長の喜久田治郎先生との出会いは2018年10月で、私がこちらの病院をご支援をさせていただくようになり、今年で丸5年になります。
喜久田先生の印象は、とにかく先進的で、行動力の塊のような人。
実際、過去10年で取り組まれてきたことを列挙すると、
●カルチャーセンター運営
└病院向かいの一軒家を取得されて、『アカデミー』という名のもとに、飼い主さま向けにカルチャーセンターのような学べる講座やセミナーを定期開催
●海外の動物病院運営プログラムの導入
└オーストラリアで自動効率化された動物病院運営プログラムを学ばれ、自院に導入
●海外での動物病院開業
└カンボジア政府と交渉を続け、プノンペンで日本初の政府公認動物病院を開業
●自社ブランド商品の開発、販売
└電解水の自社ブランド商品を開発、販売
●飼い主さまとのイベント
毎年『感謝祭』と称して、全スタッフで日頃の感謝を込めたおもてなしイベントを開催
●子供向け獣医師体験会の開催
キッザニアを文字って「キッザニャン」と称して、子供向け獣医師体験の開催
などなど、挙げればキリがないほどの活動をされてきています。
少し先を生き過ぎてしまって、ようやく時代が追いついてきたということも少なくないぐらいです。苦笑
動物病院のご支援をしているからこそ分かりますが、通常診療に取り組まれながら、こういった活動を同時進行していくことはとてもハードルが高いです。
いくら院長先生に溢れるばかりのバイタリティがあっても、スタッフさんがついてこないと実現は難しい。
ただ、ハローどうぶつ病院は、そんな中でも、スタッフさんがちゃんとついて来ている。
それこそ10年以上勤続のスタッフさんが多くいらっしゃる。
さもすると、独断専行のような動き方にも関わらず、
なぜスタッフの皆さんはついていけるのか。
そこには一貫した理念があって、
「飼い主さまとどうぶつの楽しく健康で安心した生活をお手伝い」
これを体現されているからだと思っています。
地域 x 動物病院と表情豊かな広報活動
一見、派手に見えるような取り組みが多いのは事実なのですが、
実は地道な活動も数多くされています。
海外で活動なんて、現実的ではないかもしれないですが、
この地道さの部分にいわゆる普通の動物病院が参考にできるポイントがあると思います。
では、具体的にどんなポイントなのか?
私は「地域」との関わりだと思っています。
先ほど紹介した取り組み以外にも、ハロー動物病院は以下のような取り組みをされています。
●地域高齢者との関わり
お年寄りが高齢により飼育できなくなった犬猫の里親マッチング
お年寄りが高齢で多頭飼育崩壊化している猫たちの里親マッチング
●8050問題との関わり
お年寄りの飼育サポートを通じる中で、8050問題に直面
50代のお子さんの自立支援として、動物病院の裏方業務に就労していただく
●病院周りの花壇や庭の剪定
地域の農業高校の生徒さん方に花壇や庭をデザインしてもらい、定期的なメンテナンスを依頼
●地域のセミプロさん達の「活躍の場」の提供
キッチンカーを運営しているコーヒーやスイーツ、おにぎりなど、多ジャンルのセミプロの方を病院に招いて、どうぶつx飼い主という魅力的な消費者層の共有
などなど、こちらも挙げればキリがないのですが
やはり、
「飼い主さまとどうぶつの楽しく健康で安心した生活をお手伝い」
この理念を起点に、スタッフの皆さんも関わって地域の活動に取り組まれています。
こうした取り組みは、
全国の動物病院にとって、決して縁遠い話ではないように思います。
地味な活動かもしれませんが、「地域」という関わりの中から、
「介護」であったり、
「教育」であったり、
「地域活性化」であったり、
何かを貢献するというような上から目線ではなくて、
どうぶつとの暮らしという視点から、地域との関わりを深めて、地域に活かされている存在。
こういった姿が、今後の動物病院のあるべき姿になるんじゃないかと私は思っています。
また、こうした取り組みをSNSを使って情報発信されています。
動物病院の情報発信って、どうしても病院の特徴や表情が見えづらい、
ありきたりなものと感じてしまうのですが、
上記のような取り組みが発信されると、
情報の受け手は病院の特徴や表情を多面的に受け取ることができると思います。
院長自らライブ配信なども行われていて、
スタッフの皆さんも恥ずかしながら、楽しみながら、イベントを重ねるごとに情報発信のスキルも上達されていって。
そういった活きた情報は、お金で集めた新規集患や人材採用ではなくて、
理念や考え方にマッチした人との有益な出逢いになるのは言うまでもないですよね。
適切な動物医療の提供をおこなっていることは大前提ですが、
結果として、冒頭で挙げた通り、
・利益率UP
・顧客単価UP
・診療時間短縮
・休診日増
こういった結果を動物病院にもたらしてくれているのだと思います。
誰のため、自分のため
そして、先ほど少し取り上げたのですが、
こういった院長の独断専行に近い取り組みについて、スタッフさんがついてこないという側面も生じると思います。
私自身、人材育成やマネジメントの支援をおこなっていますから、
院長がいくら旗を降っても誰もついてこない、むしろ白けてしまう状況は数多く遭遇しています。
何が違うのか。
これは私の自論になるのですが、
取り組み自体を「誰のためにやっているのか」という根本がとても大切になってくるように思います。
院長先生とお話ししていると、往々にして、「スタッフのために」という言葉が出てくるのですが、これが見誤ってしまう原因なんだろうな、と。
院長先生が10人いれば、10通りの価値観や病院経営があって然るべきで、
心の底からスタッフのため、と振る舞える方もいらっしゃるかもしれないですが、
結局は病院が困らないため=スタッフが困らないため=ご自身が困らないため、という本音が隠されているケースが多いです。
給与を上げる。福利厚生を整える。
そのために売上を伸ばす、顧客を増やす。
このようにスタッフのためにやろうとすると、とてもとても痛いしっぺ返しを被りがちです。
誰も恩を返してくれない、むしろ裏切られてしまうことの方が多い。
誰のために動物病院経営をしているのか?
スタッフの皆さんはとても敏感に感じ取られます。
金メダルを獲ったアスリートがインタビューで、
「周りが支えてくれたから、みんなのおかげで・・・」とよく話をされていますが、
それって、そもそも金メダルを獲りたいって、誰よりも強い自己願望があるからこその結果だと思うんです。
今回ご紹介したハローどうぶつ病院の喜久田院長の合い言葉は「自分のために」です。
自分が成し遂げたいことがあって、理念があって、
そこに邁進する姿に対して、
多少の文句や愚痴を言いながらも(苦笑)、 スタッフの皆さんはそこに自己投影されてついていっているんだと思います。
動物病院経営を取り巻く外部環境は悪くなるばかりだと思っています。
個人開業医の先生は、機能性、利便性では太刀打ちできない状況がどんどん迫ってきていると思います。
地域との関わり
誰のために動物病院経営をしているのか
こういったことを参考にしていただけたら嬉しいです。
喜久田先生の個人アカウントは以下になります。
https://lit.link/en/kikutahauro
インスタグラム:harukun_vet
アクティブに活動されているので、ぜひフォローしていただけたらと思います。