こんにちは、北村(@PLAN-B)です。
スタッフ育成で「褒めることが大切」みたいな記事を見かけます。
最近は自己肯定感なんて言葉も頻出しているのでしょうか。
僕としては、「褒めることが大切」 これを安易に採用してるとしたら、かなりリスキーだと思うんですよね。
褒めるに関連するコミュニケーションワードは上で挙げたようにいろいろとありますし、もちろんすべてを否定している訳ではないんですよ。
相手のヒューマンスキルやタイミングなどで必要になる場合もあるとは思うんです。
ただ、褒められてる側、つまりスタッフの話を聞く機会が多い僕からすれば、意識的に使っているケースでうまくいってるのを見たことがない、、、かな。
むしろ否定的な声が多いような。
そして、褒めることの対比にある叱る方が軽視されて、逆に悪循環に陥ってる現場をよく見かけます。
ここでは、
- とにかく褒めればいいと思っているのは間違い
- スタッフをコントロールしたいだけでは?
- 叱り方に着目すべき理由
こんな内容を紹介する記事になっています。
褒め方の功罪
そもそも、なぜスタッフを褒めなきゃいけないんでしょうか?
皆さんが褒める理由については
スタッフに成長してほしいから・・・
こんなふうに答える院長やマネージャーが少なくないんですが、
本気で言ってますか??、と。
いやいや、それは建前で
言われなくても自分から動いてほしい
辞めないでほしい
ほとんどの方がこんな実害を解消するために使ってるんじゃないでしょうか?
極論ですけど、
スタッフをコントロールしたいから
動機の真意、つまり「目的」がこっちの人のほうが多いと思うんです。
解決したい課題の真意・目的をぼやかしたままに、聞こえのいいツール=褒めるを採用してしまうと痛い目に遭います。
そもそもですよ、
「褒めること」って、基本的には過去にあった行為を振り返ることであり、さもすると上下関係を意識づけさせるように感じませんか?
根底に「スタッフをコントロールしたい」と思っている院長やマネージャーが安易に褒める言葉を使うと、聞こえ方によっては「イヤミ」や「マウント」と捉えられる、
そしてこちらの下心を簡単にスタッフに見透かされるリスクがある訳ですよ。
そこがすっ飛ばされてしまって、「褒めること」が万能ツールみたいになっている現状に違和感を覚る訳です。
適切な褒め方とは
先に少し挙げましたが、褒めることって使い方によっては毒にも薬にもなる訳で。
で、毒にならないように使いたい訳ですが、
褒めることの適切な使い方としては、シンプルに自分の感情と切り離して使うことです。
具体的に、
グループウェアなどを開発しているサイボウズでは、組織やチームの課題解決において「事実」と「解釈」の定義を重要視されています。
事実 = 誰が見たり、聞いたりしても五感で確認でき、共通の認識が持てる「確かなこと」。自分の外側で「起こった」こと
解釈 = ある事実を見たり、聞いたりしたときに「頭の中で作り出したこと」。自分の内側(心や価値観)で「思った」こと。
この定義をよく理解してもらって、自分の解釈ではなく、起こった事実に基づいて褒めてほしい訳です。
これ、実践してもらうと分かるんですけど、事実に基づいて褒めようとすると疲れます。
褒める側に大変な労力、具体的には観察力が求められるからです。
ただ、褒められる側からすれば客観的な事実に基づいて褒められる訳で、イヤミも下心も感じずに受け止められるんですよね。
そんなこと言っても、日々様々な仕事を抱えてる先生方からすれば、ここに割くコストと得られる効果が見合わないことにも気付かれるはずです。
コストバランスを考えるなら、まだ「ありがとう」と感謝を伝える方が使い勝手がいいです。
褒め方の弊害、効果的な叱り方
話を元に戻すと、そもそも褒めることが目的ではなくて、真の動機はスタッフをコントロールしたい、でしたよね。
日々の現場では、スタッフをコントロールしたい状況の連続だと思います。
仕事のストレスのうち、これが大半を占めてるんじゃないでしょうか。
褒めるの弊害
そして、こんなところにも褒めるの影響があのかもしれないんですが、
スタッフに対して、言わない、言えないマネージャーやリーダーが多いこと。
何を言わないかって、
目に付いた、気がついた改善すべきことをです。
つまり「叱る」ことが必要なシチュエーションで、です。
これ、なぜなのか?
おおよそ2つに分けられると思います。
- 性格的に言えない
- ガマンして言わない
もちろん、どちらも問題なんですが、職場の雰囲気を険悪にして、より深刻な問題に発展させるのは、後者の「ガマンして言わない」ですね。
組織開発・戦略的人事の分野、Googleなどの先進企業では、心理的安心性を得られる組織づくりに取り組んでいる訳ですが、
ガマンして言わない状況って心理的安全とはほど遠い状況です。
スタッフが常にピリピリと院長の顔色を窺って、本来不要な緊張感のもとに仕事をする。
スタッフの目が改善すべきことや顧客に向かず、院長や上司に向いている、そんな組織に未来はないですよね。
効果的な叱り方
先程、言えない人、言わない人の2つに分けられると伝えましたが、どちらの人にも使ってもらえるのが、アンガーマネージメントで使われる手法です。
アンがーマネジメントとは、怒りの感情をセルフマネジメントする手法です。
- 怒りの感情のピークは “6秒”
- 怒りは二次的な感情
などがトピックスになる訳ですが、
個人的には瞬間的な怒りは6秒も落ち着くのをガマンしてられないので、ズボラな僕はしっかり向き合わないとなかなかできないなぁ、という解釈なんですが、その中でも以下は叱り方に使えると思って実践しています。
目に付いた、気がついた事象に対して、
- アイメッセージ
- ユーメッセージ
この2つを切り離して伝える方法です。
アイメッセージのアイは(わたし)のアイ
ユーメッセージのユーは(あなた)のユー です。
例えば、
診察室の備品がを片付けられていない
カルテがその辺に放ってある
入院管理が適当 など
こんな事態に遭遇するとしましょう。
「このクソ忙しいのに、なんでなんだ!!」って怒鳴ってしまうパターンと、
「グッとこらえて我慢する」パターンと。
叱る、怒ってしまうシーンでは、ユーメッセージで伝えてしまうことが圧倒的に多いわけですが、
これをアイメッセージに置き換えると、
自分が助かる
自分がうれしい
そんな言葉に置き換えることで、スタッフへの伝わり方が変わります。
もちろん、劇的な変化は起こりづらいですし、そもそもそんなすぐに言い方を変えられないのが普通です。
ただ、あまりにも言えない、言わない、ガマンすることが”善”と思われてる院長やマネージャーが多いので。
他人を動かすということ
スタッフのマネジメントもそうですし、患者さんとのコミュニケーションもそうですし。
他人を動かすことは本当に難しいと日々実感しています。
そもそも持って生まれた性格も違う訳ですし、育ってきた環境も違う訳ですし。
価値観が違う他人を動かそうとすること自体が難しいって前提に立った方が気がラクです。
瞬間湯沸かし器のように感情を爆発させて後悔している先生
そんな経験から、言いたいことをガマンしている先生
これは僕の持論ですが、すでにコミュニケーションのことで悩んでいる時点で、僕らはスーパー経営者じゃないんですよ。
コミュニケーションのスペシャリストになろうとしてる訳でもない。
褒め方、叱り方で悩みを抱えて、遠慮されてる先生があまりにも多い。
だったら、ガマンせずに自分の感情や想いを伝えたほうが絶対にいいです。
ただ、伝え方だけは間違えないようにしてください!
今回の記事は、
目的の動機を明らかにする
他人を動かそうとすることがそもそも難しい
ガマンせずに感情や思いは伝えた方がいい
アイ(わたし)メッセージで伝える
こんなことについてお伝えしました。